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テレワーク環境の整備

 前回テレワークの導入について解説しました。

 今回は社員が主に在宅勤務を行う際の環境について解説していきます。

 在宅勤務を行う際には、インターネットへの接続環境、インターネット接続を行う際のセキュリティ環境、在宅勤務を行う部屋の作業環境などについて確認する必要があります。

インターネット接続環境

 在宅勤務を行う際には、インターネットへの接続が大前提となります。通常の業務ソフトや、チャットなどのサービスを利用する場合には、それほど高速な接続が求められるわけではありません。

 しかし、Web会議システムなどを利用する場合には、一般的に通信速度は10mbps以上が必要とされ、安定的にこの速度がでる接続環境を整える必要があります。

 自宅に有線でのインターネット環境を整えるのがベストですが、昨今はインターネットの利用はスマホなどで十分とし、自宅にインターネット環境が無い方も多くなっています。

 こうした場合、解決策として、会社からポケットWifiなどを社員に貸与するケースも見られます。しかし、ポケットWifiは契約内容やキャリアによって、通信速度や安定性が異なり、1ヶ月の通信量に制限がかかる場合もあります。

 特に、公称値(理論値)での通信速度だけで判断せず、実測値の確認を怠らないようにしましょう。ポケットWifiに限った話ではありませんが、インターネット回線の通信速度は、理論値と実測値に大きな差があることが通常です。

 通信量についても、「無制限」とされていても、一定の通信量を超えた場合には、速度制限がかかる契約などもあります。通常Web会議では1時間に600MB程度の通信量が必要とされています。自社でのWeb会議の頻度、時間に応じて、適切なプランを選択するようにしましょう。

テレワークにおけるセキュリティ対策

 インターネットにおけるセキュリティについては、専門外ですので、あまり深くは言及しませんが、最低限次の事項については、行うようにシステムの導入や社員教育を行うべきでしょう。

  • モバイルワーク時のVPN導入検討
  • セキュリティソフトの有効化
  • 最新のブラウザ・メーラーの導入
  • 速やかなWindowsの更新
  • 社員本人だけでなく、その家族に対しても、セキュリティ対策の注意を行う

 特に社員が仕事で使用するPCを家族が共有することは、情報漏えいの恐れが強く、避けるべきです。テレワークを行う場合は、原則として会社から貸与した機器を利用するべきであり、貸与した機器については本人が仕事で使用する以外の使用を厳禁すべきでしょう。

 また、社員が在宅勤務中、その家族が仕事の内容や、仕事中のPC画面が写り込んた写真などをSNSにアップしてしまう事例なども発生しています。こうした事が無いように、しっかりと社員の家族にもセキュリティに対する理解を求めましょう。

テレワークにおける作業環境

 仕事を行う際の作業環境については、安全衛生法に基づき、事務所衛生基準規則に定められています。この規則では「労働者を常時就業させる室」を対象として、様々な事が定められています。

 在宅勤務制度を導入した場合には、会社のオフィスだけでなく、社員が自宅で作業する部屋についてもこの「労働者を常時就業させる室」に該当することになりますので、会社としても確認が必要になります。

 事務所衛生基準規則で定められている作業環境には、次のようなものがあります。

  • 設備の占める容積を除き、一人につき10立方メートルの広さが必要
  • 窓その他、直接外気に向かう開口部の面積が床面積の1/20以上必要(換気設備の設置でも可)
  • エアコン等による適切な温度調節
  • 石油ストーブなどを設置した場合の点検
  • 十分な明るさの確保(明暗が著しくないこと)
  • 騒音の防止

 クローゼット内で在宅勤務を行う様子が報道されたり、オンラインストアで在宅勤務用の組み立て型小部屋やテント等が販売されていますが、こうした環境で在宅勤務を行うことは、事務所衛生基準規則違反となる可能性がありますので、特に注意が必要です。

 厚生労働省から、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】」が公開されていますので、在宅勤務を導入する際には、このチェックリストを利用して、自宅の作業環境を確認すると良いでしょう。

「厚生労働省:テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(チェックリストへのリンクあり)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html